MPS-RYUJIN
MPS-RYUJINの概要
MPS-RYUJINは、流体を粒子の動きに置き換える粒子法(MPS法)を導入した流体解析ソフトウェアです。攪拌や洗浄、スロッシング等、液面が大きく変化する複雑な流体解析に優れたソフトウェアです。 粒子法を用いることにより、解析モデルを作成する際のソリッドメッシュの準備が不要になり、短時間で前処理作業から流体解析まで実行することができます。作業効率の高さと使い勝手に優れたソフトウェアです。
MPS-RYUJINの特徴
特徴
ソリッドメッシュモデル不要
粒子法は、従来必要であったソリッドメッシュモデルが不要で、サーフェスモデルのみで流体解析ができます。また、STL形状データをインポートした後、粒子モデル配置のみで解析モデルが完成します。その後、境界条件、物性条件、計算条件等をRYUJIN Pre上で設定することで前処理工数が大幅に削減することが可能です。
液面の大変形や飛沫を表現
粒子モデルを用いることにより、粒子そのものの動きが液体の流れを表します。液体の分離と結合を粒子の動きで再現するため、液面の大変形や飛沫を容易に再現することが可能です。
攪拌やスロッシング、洗浄解析に最適
ソリッドメッシュモデルが不要なことから、解析空間に移動境界条件(例、攪拌翼等)を設定でき、さらに液体の噴射や水しぶきも容易に再現できるので攪拌解析、タンク等のスロッシング解析、洗浄解析に適しています。
MPS法とは
MPS法は、粒子モデル用いた流体解析の手法の一つで、圧力を陰的計算することで、安定的に計算が行うことができます。
MPS法とは
MPS-RYUJIN Solverでは、連続体を有限個の粒子によって表現する粒子法を用いています。流体粒子の運動は運動方程式にしたがって更新されますが、方程式の離散化にはMPS法の粒子間相互作用モデルを用いています。
MPS法の計算アルゴリズム
計算手順
1. 粘性項/外力項を前時刻の値を用いて計算し、各粒子の仮の流速を求めます。(陽的計算)。
2. 各粒子を(1)の流速で移動させます。
3. (2)の結果から、粒子数密度を求めます。
4. 密度一定条件から、圧力項のポアソン方程式を作りそれを解くことで各粒子の圧力を得ます(陰的計算)。
5. (4)で求めた圧力から圧力項をナビエ-ストークス方程式に代入し、(1)で得られた粒子の速度と位置を修正します。
6. 計算結果を出力し、時間をΔt分進めて(1)に戻ります
RYUJIN Solver機能
RYUJIN-Solverは、粒子法モデルに基づいた様々な流体解析を実行します。Windows版とLinux版の2種類用意しており、大規模並列計算に対応しています。
非圧縮性粘性流体解析
流体をMPS法の粒子モデルを置き換えることで、非圧縮性粘性流体解析を機能を実装しています。圧力と流速を分離して時間進展を進める分離解法(MAC法)を採用し、圧力を陰解法で計算することで、安定的に計算を行います。
移動境界条件含む流体解析
粒子法は、ソリッドモデルを必要としないため、構造物の回転/並進移動をさせることが容易です。RYUJINでは、ギアなどに回転条件を入れて複数の回転軸からなるトランスミッション内オイル潤滑流れを計算することができます。
流体ー剛体連成解析
MPS-RYUJINは、流体から剛体表面にかかる圧力、剛体から流体への慣性力を求めることで、流体と剛体の練成解析を行うことができます。剛体の条件として、慣性モーメント、拘束条件、並進バネ条件を設定することができます。
熱を伴う流体解析
MPS-RYUJINは、熱伝導を粒子同士の熱のやりとり、熱伝達を粒子の動きとして計算します。(熱放射は非対応)
流体温度の変化に伴い、粘性率や熱伝達率を変更する条件、浮力や対流を計算するための体積膨張率を条件を入れることができます。
攪拌トルク算出解析
MPS-RYUJINは、攪拌トルク値を羽根が流体に与えた力の反作用として、回転軸中心から距離と以下の4つの力から求めています。
羽根が粒子に与える力として、
・ 粘性由来
・ 圧力由来
・ 慣性力由来
・ 重力由来
から算出される値を合計したものになります。
動的負荷分散付き並列計算
従来の粒子法での並列計算は、流速分布変化に伴う領域ごとの計算負荷の変化に対応していません。RYUJINは、流速変化や流体量変化に伴うノード間の計算負荷の変化に対応できる柔軟な領域分割と動的負荷分散の機能を実装しています。
RYUJIN Pre/Post
RYUJIN Preで解析計算に必要なデータファイルを作成し、RYUJIN Postで、計算結果の可視化(画像/動画作成/数値出力)を行います。
大規模粒子データに対応
RYUJIN Pre/Postは、億を超える粒子モデルの表示に対応しており、大規模計算機サーバで計算した大量の粒子モデルの結果ファイルを可視化することが可能です。
様々な形状モデル表示(ポリゴン/粒子表示機能)
RYUJIN Pre/Postは、解析対象の形状と粒子を見やすくするために、様々な表示機能を用意しています。
流跡線表示
RYUJIN Postでは、粒子の軌跡をラインで表示する流跡線表示機能を実装しています。この機能によって、特定の場所に当たったり通過する粒子の流れや、滞留している場所を可視化することができます。
表面流量・表面速度算出
RYUJIN Postでは、形状表面にかかる圧力や表面を伝う流量を表示することができます。この機能によって、洗浄解析でどの部分に水が流れているのか、シャワーの水がどの部分にあたっているのかを可視化し、洗浄の効果を評価することが可能です。
動画出力とグラフ表示
RYUJIN Postは、時間毎の表面流量を記したCSVファイルをインポートすることで、グラフを表示することができます。動画を出力する際、粒子の動きとともに、時間経過に合わせたグラフ位置を示す画像も出力します。
RYUJIN機能一覧
RYUJINの機能一覧をご紹介します。
解析機能
・ 自由表面:表面張力、接触角、大気圧を考慮可
・ 熱解析:流体の熱伝導、構造物の熱伝導(粒子モデルのみ)
・ 固体流体間の熱伝達、(質量密度の温度変化による)浮力
・ 温度変化による粘性変更
・ 流体剛体連成解析(ポリゴンモデル可)
・ 流入条件(移動流入条件・シャワー条件 )
・ 内圧考慮した圧力計算
・ 表面流量・表面速度算出
・ 攪拌トルク算出
解析条件
・ 流体計算パラメータ(影響半径、クーラン条件、計算領域等)
・ 移動境界条件(粒子・ポリゴン壁の回転、振動、並進)
・ 剛体の拘束条件(軸・バネ拘束、回転トルク入力)
・ 荷重条件(重力、時間変化する任意の慣性力)
・ 各種熱境界条件(断熱,温度固定,発熱,境界での熱伝達率)
・ 物性条件(密度、動粘度、表面張力係数、熱容量、熱伝導係数)
・ 圧力振動低減機能
並列計算機能
・ OpenMPを用いたスレッド並列計算機能
・ MPIを用いたプロセス並列計算機能
・ ハイブリッド並列計算機能
(ノード間プロセス並列・ノード内スレッド並列の同時実行可)
最低動作環境
CPU | Pre/Post : Intel Core i7以上またはXeon Solver : Intel Corei7以上またはXeonで、コア数4つ以上 |
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GPU | Pre/Post : OpenGL 2.1以上対応GPU必須 Solver : 必要無し |
RAM | Pre/Post : 4GB以上 Solver : 8GB以上(1コア当たり2GB以上) ストレージ : HDDまたはSSD 10GB以上(結果保存先ストレージは別途必要) |
OS | Windows 10 Pro Red Hat Enterprise Linux Release5以上(Solverのみ) |