日本科学未来館 ドームシアターの3DCAD作成
概要
人の往来が多い施設では、新型コロナウイルスへの感染対策が非常に重要です。新型コロナウイルスは人から人へ感染するため、施設の定員数の制限や施設内の空気が素早く循環する工夫などが必要になります。2021年に日本科学未来館のドームシアターの換気状況や飛沫の拡散について、スーパーコンピュータ「富岳」を用いたシミュレーションが行われました。
ドームシアターの換気シミュレーションに必要な施設の3DCAD
換気シミュレーションは理化学研究所(理研)計算科学研究センター複雑現象統一的解法研究チーム坪倉誠チームリーダー(神戸大学大学院システム情報学研究科教授)らの共同研究グループによって行われ、2021年ゴードン・ベル賞COVID-19研究特別賞を受賞されました。
また、共同研究グループは理化学研究所と神戸大学が中心となり、豊橋技術科学大学、京都工芸繊維大学、東京工業大学、九州大学、大阪大学、鹿島建設株式会社、ダイキン工業株式会社、株式会社数値フローデザインとが密に産学連携して実施しました。
様々な大きさの3Dモデル作成に対応
今回弊社は、地上型3Dレーザースキャナで取得した点群データを基にドームシアターの3Dモデルを作成しました。地上型3Dレーザースキャナは一度に広範囲の点群データを取得できるため、大きな施設の点群データ取得に向いています。
人工唾液を飛ばすマネキンの計測に使用したハンドヘルド型3Dスキャナ「F6 SR」はスピーディーに詳細な形状データの取得が可能です。シミュレーションの空間内に配置する人や飛沫を飛ばす人の3Dモデルを精密に取得することにより、シミュレーションの精度向上につながります。弊社では多種多様な計測器を所有しており、お客様の要求精度や対象物の大きさに合わせた計測器やソフトウェアを選定し、品質の高いデータをご提供します。
- 点群データの取得
・地上型3Dレーザースキャナやハンドヘルド型3Dスキャナで点群を取得 - データ処理
・異なる位置で計測したデータの合成
・ノイズ処理 - シミュレーション用モデルの作成
- シミュレーションの実施
参考:ドームシアターの換気シミュレーション例
ドームシアター内の空気の入れ替わり状況がカラーコンターで表現されています。
換気がされていない箇所は赤色で表現され、換気が進んだ箇所は緑色で表現されています。換気を開始して15分後にはドームシアター内の大部分の空気が入れ替わっていることが確認できます。また、ドームシアター内にいる人から飛沫が飛んだ際のシミュレーションも行っています。
日本科学未来館 ドームシアター内のシミュレーションについては、下記リンク先をご参照ください。
・日本科学未来館 パネル・動画展示
「どう思う?飛沫が見えるシミュレーション」
https://www.miraikan.jst.go.jp/events/202202022304.html
・「動画で見る、未来館ドームシアター内での換気・飛沫シミュレーション」
https://youtu.be/w24cFlzk40s
※ 神戸大学 坪倉教授は本テーマにおいて、2021年ゴードン・ベル賞、COVID-19研究特別賞受賞を受賞しております