- F6 SMART
- Galaxy-Eye Modeler
三菱ケミカルエンジニアリング 様
水島事業所 エンジ1部 受託エンジグループ
王晨旭氏
3D計測データ活用で現場の省力化へ
三菱ケミカルエンジニアリングは、三菱ケミカルホールディングスグループの一員として、三菱ケミカルをはじめとする多くのグループ会社のエンジニアリング・設備管理業務を手掛ける。最近では、IoTやビッグデータ解析を活用した製造プロセスの生産性の向上に取り組むなど、最新技術の開発にも余念がなく、伝統と革新の双方をあわせ持つことを強みとしている。三菱ケミカルホールディングスの掲げる「KAITEKI」コンセプトの下、環境や社会の解決にとどまらず、社会そして地球の持続可能な発展に取り組んでいる。
同社水島事業所は、2019年度に『Galaxy-Eye』と『F6 SMART』を導入し、主に中・小規模の改造工事に伴う配管設計の効率化に取り組んでいる。2020年度には、同社水島事業所を含めた全8事業所への『F6 SMART』導入を決め、三次元計測を活用したエンジニアリング業務の効率化を目指す。
導入背景
「現場の3D化により、手戻り防止、机上での現場状況の確認が可能になった。また、3Dデータは客先への明確な説明資料としても活用できている。」エンジ1部 受託エンジグループの王晨旭氏は語る。近年、同社では既設内での配管改造、機器更新をはじめとした中小規模の工事が増えており、既設との干渉等による手戻りの発生・工事の遅れに悩まされていた。「工事の都度現場に足を運び、現場の調査や図面の作成を行っていたが、確認忘れや距離測定の間違いといったヒューマンエラーが付き物。加えて、2D図面では客先に現場状況が伝わりにくかった」と王氏は振り返る。
そこで同社は『Galaxy-Eye』と『F6 SMART』を導入し、改造工事の効率化を実現した。「以前より、三次元計測を活用すれば複雑な既設配管との兼ね合いを考えた設計の精度が向上し、施工時の手戻りを減らせるのではないかと思ってはいた。最近、点群データがメジャーなものになりつつあり、周辺企業での活用が増えているのも、導入検討を進める後押しになった」(王氏)ようだ。
中小規模の改造工事での活用を想定し、三次元計測について調査を進める中、次のような特徴を持つ製品を探すことにしたという。
①地上型の3Dレーザースキャナのように高価で大掛かりな機材ではなく、手軽に使えるポータブルタイプで数m程度の距離が計測できる三次元計測器
②点群をベースとした新設配管の設計に加え、既設配管との干渉確認が行えるソフトウェア
「そこで見つけたのが、『F6 SMART』と『Galaxy-Eye』だった」(王氏)と語った。
選定理由
王氏は、『F6 SMART』と『Galaxy-Eye』の選定理由として、以下のポイントを挙げた。
①ポータブルタイプで最大計測距離4m 【F6 SMART】
②設計配管CADのスプール図出力機能 【Galaxy-Eye】
③既存設備との干渉確認機能 【Galaxy-Eye】
④配管CADの積算出力機能 【Galaxy-Eye】
⑤質問に対するレスポンスの良さ 【F6 SMART・Galaxy-Eye】
「手軽に計測できるポータブルタイプの計測器であり、最大計測距離が4mというところが、中・小規模の改造や更新には最適であった。スプール図の出力や干渉確認はもちろん必須の機能であったが、配管の積算出力が1つのソフトで完結できるところが魅力的であった」と王氏は話す。「また、導入検討時の質問に対するレスポンスが良かった点も導入を決めたポイントの一つ。結果、購入後のアフターケアが良く、機能や使い方についての相談、要望に対する対応等にも非常に満足している」(王氏)という。
導入後の変化
「1度スキャンしてしまえば、その後の業務はすべて机上で完結する。現場の確認がしたいと思った時、データを開けばすぐ確認ができる。既設の状況を点群データで確認しながら、配管のルートの検討や干渉の確認が行えるので、配管設計の効率が良い。手戻りは圧倒的に減った」と王氏は語る。他部署や協力会社でも三次元計測を活用してもらおうと、機器の貸し出しや練習用の部屋を設けて操作体験を行ったりしているが、「3Dデータを活用したエンジニアリングが、もっと身近なものになってほしい。協力会社での活用が広がれば、もっと費用対効果が高くなると思う」(王氏)と話す。一方で、また、お客様への説明資料としても効果的で、データを見れば現場の運転員が施工後の運用までを想像する事ができる」と王氏は語った。続けて、「最近の工事の際でも、データを確認してもらったところ、工事後のバルブ位置が遠く作業がしにくいとの指摘があり、その場で修正して合意をとることができた。その辺りが三次元の強みだと感じた」(王氏)という。
今後の展望
同社は引き続き『Galaxy-Eye』と『F6 SMART』をはじめとする、点群データの活用に力を入れる意向だ。「当社は高圧ガスの配管が多く、改造工事の際には耐震解析が必要となる。既設配管の3Dモデル化を進め、同工程の精度向上及び効率化を図りたい」(王氏)とのこと。続けて王氏は、「将来的には、インポート・エクスポート機能の更なる充実がカギとなる。使用するCADソフトは協力会社はもちろんのこと、社内でも様々な種類のものがある。今後はそういった他社製のソフトとの親和性の向上に期待したい」と語った。
『F6 SMART』については、「全事業所で8台所有し、積極的に活用している。社内のみならず協力会社にも使ってもらうことで手戻りを防ぎ、業務効率化へつなげたい」(王氏)と意欲的だ。
コロナ禍の現在、現場の3D化はテレワークでの活用にも有効的と考えているという。「データがあれば在宅での現場確認も可能である。今後環境が整えば、客先への状況説明や工事計画の提案も、現場のデータを共有しながらリモートで容易にできてしまう」と語った。
「現在では、中小規模での改造工事における3Dの活用のみならず、大規模のプラント建設工事や設備管理業務でもレーザースキャンによる3Dデータの活用が加速している。会社全体として、プラント建設業務における3Dスキャンの活用や遠隔での機器操作等といった、先進技術を利用した『DX』による技術革新の風を起こすべく、日頃の業務効率向上を可能にする様々な技術の調査・導入を積極的に進めている。そういったスマートエンジニアリングサービスの提供を通じて、顧客満足度の向上や、客先から協力会社までプロジェクトに関わる全員の業務効率化を実現したい。そうすることで、将来的には、全てのプラントユーザー側も運転管理や保全業務において3Dデータを活用することに繋がる。プラントが出来た当初はいいが、何年か経つとプラントも変化するし人も入れ替わっていく。どんどん変化していく現場の情報を三次元データとして一元管理できれば、業務の効率は飛躍的にあがる」(王氏)と期待に胸を膨らませた。
代表者:佐久間 良介(代表取締役社長)
所在地:東京都中央区日本橋本石町1-2-2
設立:1957年12月16日
資本金:14億500万円(2020年4月1日時点)
従業員数:1,221名 (2020年4月1日時点)