- Galaxy-Eye Modeler
株式会社九電工 様
技術本部 技術企画部 技術開発課 先端技術開発副長
安武和成氏
3D計測データ活用で現場の省力化へ
九電工は、電力の配電線工事をはじめ、電気工事、空調管工事、情報通信工事、リニューアル工事、プラント設備工事などを手掛け、総合設備業として地域社会に貢献をしてきた。「人」・「環境」・「技術」を調和させた環境作りとともに、多様化・高度化する顧客のニーズへ的確に対応している。
同社は2015年1月から『Galaxy-Eye』を導入し、同時期から取り入れている3Dスキャナーの計測データの有効活用に努めている。工事時間の短縮化に向け、3D計測技術の社内普及に力を入れていく意向だ。
導入背景
総合設備業における、
現場調査業務の高精度化を目指して
現場調査業務の高精度化を目指して
「設備更新工事の現場調査から提案業務まで、幅広く活用できると見込み、3Dスキャナーの導入を決めた。せっかく3Dスキャナーを導入するのだから、点群処理ソフトも同時に導入して100%の活用をしたいという思いで、ソフトの選定を行った」と、技術本部 技術企画部 技術開発課 先端技術開発副長を務める安武和成氏は振り返る。 当初、同社は3D-CAD化をメインとした3Dモデリングでの客先提案を想定していたが、「当時3Dモデリングがとても難しく、設備工事の現場をCAD化できるツールは無いと思った」(安武氏)という。
そこで、以下の3点を考慮してソフトウェアの調査を行った。
①省力、精度向上、安全
②現場の飛躍的な可視化
③プレゼン用3D動画の作成
「このような中で『Galaxy-Eye』に巡り合った。『Galaxy-Eye』は、富士テクニカルリサーチ社による半日の体験 セミナーで一通り使えるようになったことに加え、セミナー参加者に配布される試用版も使いやすく、好印象だった」と安武氏は打ち明ける。
選定理由
レイアウト検討・動画作成の手軽さが鍵
安武氏は、『Galaxy-Eye』の選定理由として以下のポイントを挙げた。
①改修工事のレイアウト検討や動画作成が手軽にできる
②縮尺既知の断面図(オルソ図)が作成できる
③搬入出時の動的干渉チェックができる
「当時、点群データからのモデリングは現実的には不可能と諦めていたため、改修工事のレイアウト検討や
動画作成が簡単にできてプレゼンに使えるソフトとして選定した。搬入出時の動的干渉チェックができることが大きなポイントとなった」と安武氏は話す。
設備工事を進めるにあたり平面図の作成が必須となるが、「『Galaxy-Eye』では縮尺既知のオルソ図(断面図)を容易に作成できるため、3D計測データを業務に取り入れることができると考えた」(安武氏)ようだ。
導入後の変化
『Galaxy-Eye』IFC出力機能追加が大きな転機
3Dスキャナー及び『Galaxy-Eye』の導入当初から、「ウォークスルー動画や干渉チェック、レイアウトシミュレーション等の、点群動画を使ってのプレゼンは客先で好評で、営業ツールとして有効であった」(安武氏)とのこと。動的干渉チェック機能については「3D-CAD上で搬入のシミュレーションを行うことで、打ち合わせの簡略化につながっている。言わば、工事関係者に向けた『合意形成』を図るための有効な手段の1つとなっている」(安武氏)という。
このような用途で、データベースで現場状況の共有ができる点群の特徴を、同社は有効に活用していた。しかし、点群データの可能性を感じる一方で、点群オペレーターを育成する余裕はなく、社内で点群データを扱える人間は限られている。そのような中、2016年より『Galaxy-Eye』上でIFCファイルの出力が可能となったことは、同社の『Galaxy-Eye』活用用途を広げるきっかけとなった。「『Galaxy-Eye』上でCAD化した配管、ダクトの形状を、設備系CADソフトへ受け渡すことが可能となった。これにより、CAD化への障壁が下がり、現場の技術者へのフィードバックが容易になったため、大きな進歩となった」(安武氏)という。
今後の展望
3D計測技術の社内普及に注力
「メジャーや、勘で決めていた寸法をもとに描いていた図面を、3D計測データにより精密で正確な図面に置き換えることができる。このような利点は、プラント・原子力業界では必要とされているかもしれないが、設備工事の現場ではそこまでの価値がない。変更が多い工事の図面は長い工事期間の間で、少しずつ精度を高めていくのが通常であるため、精度が高くても図面の作成に時間がかかるのでは現場で活用ができない。3D計測なら今までの方法で作った図面よりも高い精度のものが速くできる。工事の現場では、手間なく速いことは非常に魅力的だ」と安武氏は語る。
続けて安武氏は「当社は現段階で、3D計測が役立つことは技術的に検証できたが、計測データを有効的に活用する実務的な役割はまだ果たせていない。点群データは重く、良いハードウェアが必要になることに加え、専属のオペレーターを要する。そのため、3D計測を現場のワークフローに取り入れるために、点群のCAD化は必須となる。より簡単で軽快に動くソフトウェアの開発に期待をしている」と話す。
今後も3D計測技術の社内普及に力を入れる意向だ。将来的には、「技術者が検討に直接使えるようなレベルになることが理想だ。IFC出力機能の更なる充実にも期待をしている」(安武氏)とのこと。
現在建設業界では、オリンピック特需・被災地の復興活動・熟練労働者の減少等に伴い、人手不足が発生しているという。「3Dスキャナーのハード・ソフトともに求めやすく、誰でも簡単に扱えるような仕様になれば、世界中の工事現場へ導入できる。どのような現場でも3D計測は現場の省力化に役立つと思っている」と安武氏は熱く語った。
代表者:西村 松次(代表取締役社長)
所在地:福岡県福岡市南区那の川1丁目23番35号
設立:1944年12月1日
資本金:125億6156万円(2019年8月31日時点)
従業員数:6,634名 (2019年9月1日時点)