- Galaxy-Eye Modeler
日鉄テックスエンジ株式会社 様
機械事業本部 技術部
技術開発グループ長(2020年2月末時点)
村山亨氏
現場の「見える化」「見せる化」を強化
日鉄テックスエンジは、鉄鋼分野を中心にプラント設備のメンテナンスやプラントの操業管理、さらに機械・電気計装・土木・建築などの工事や制御系コンピュータシステムの開発、工場・倉庫・大型プラントの建設など多くの実績を持つ、総合エンジニアリング企業だ。近年では、ロボティクス事業やパーティクルボードなどの製造販売も行っている。
同社は2012年7月より『Galaxy-Eye』を導入し、約10年前(2020年2月時点)から取り入れた3Dスキャナーでの計測データの有効活用に努めている。精度の異なるUAV・MMS・地上型レーザースキャナーとともに、2018年12月よりポータブル型3Dスキャナー『F6 SMART』も取り入れ、スキャナーの適材適所の使い分けにも力を入れている。
2016年からは3次元設計図をVRで表示する取り組みも開始し、現場の「見える化」「見せる化」を強化していく意向だ。
導入背景
計測データの有効活用がコストメリットの鍵
「3Dスキャナーでのレーザー計測は、現場図面化の手前のプロセスだと考えている。図面が存在しても、(図面の)正確性の確認が求められる。レーザー計測をすれば、低コスト且つ安全に、確実なデータを得ることができる」と機械事業本部 技術部の技術開発グループ長を務める村山亨氏は語る。 プラント現場は危険が伴い、安全且つ短時間での作業が必要となる。人力での現場調査では、不整合や測り忘れのミスが発生し、施工品質の低下や手戻りの原因ともなった。
「現在プラント業界では技能伝承が上手くいっていないため、正確な設計のできる技術力を持つ人が減少傾向にある。そこを補う1つのツールが3Dスキャナーによるレーザー計測だと考えている」と村山氏は話す。続けて村山氏は「レーザー計測によるデータ取得は、装置・ソフト・人とコストがかかっていることは確かだが、あらゆる工程でデータを有効活用していくことにより、単価自体を下げていることが当社の特色だと思っている。計測データの図面化・工事シミュレーションや、お客様との合意形成のために点群処理ソフトを活用すれば、コストメリットにつながると当社は考えている」と語った。
このような考えをもとに、同社は『Galaxy-Eye』導入に乗り出し、データの有効活用へ力を入れ始めた。
選定理由
『Galaxy-Eye』の高速Viewer機能に感銘
村山氏は、『Galaxy-Eye』の選定理由として以下のポイントを挙げた。
①独自の高速データ処理技術により、数十億の点群データを素早く読み込む(高速viewer機能)
②点群データを基に配管CADデータを簡便に作成できる
③点群データを用いて高所等、あらゆる場所の寸法を算出できる
④何度も出入りができない現場での寸法測定や、機材の搬入ルート検討、レイアウト検討等ができる
⑤据え置き型やポータブル型スキャナー等、あらゆる種類の点群データを併用できる
①について村山氏は「今までは狭い範囲の設備を計測対象としていたが、大型のプラントは現場全体を点群化する傾向に業界全体がなっている。そのような中で、大規模データを高速で扱えることは『Galaxy-Eye』の大きな強みと考えている」と語った。
同社は計測の手軽さも求め、ポータブル型3Dスキャナー『F6 SMART』を導入し、同スキャナーでの計測データも『Galaxy-Eye』上で活用している。「小型・軽量で取り扱いが手軽なことに加え、広い計測レンジ(4.0m)を高速でスキャン・データ化することが導入の決め手となった」(村山氏)とのこと。現場状況に応じて、『F6 SMART』のみ、『F6 SMART』と据え置き型スキャナーの併用等、スキャナーの適材適所の使い分けにも取り組んでいる。
導入後の変化
現場の正確な図面化で業務効率へ
村山氏は、『Galaxy-Eye』の導入後のメリットとして以下の3点を挙げた。
①「デジタルツイン」の実現
(取得した点群データとCADデータの干渉チェック等、シミュレーションが可能)
②容易な図面化
③あらゆる現場の「見える化」「見せる化」のツールとして活用が可能
実際に同社では、高所での計測においては、足場の組み立て・解体作業や人力での計測にかかる時間をレーザー計測で省いたことに加え、『Galaxy-Eye』上でのスピーディな点群処理・データ出力により、数か月の工程を4日間で実現させるという好事例もある。現場で取得したデータを忠実に再現した上で出力を行い、業務効率化にもつなげている。
同社は、数ある『Galaxy-Eye』の機能の中で「配管CAD作成」「干渉チェック」「2D出力(オルソ画像他)」を頻繁に使用している。中でも「配管CAD作成」機能を最も多く活用し、配管模様替え・配管新設時においては、プラント現場の複雑な配管をCAD化・アイソメ図(2D)化をすることで、現場の正確な図面化へつなげている。
2016年以降はVRにも力を入れ始めた。「VRの醍醐味はお客様との『合意形成』だ。広さや奥行きなど、図面では表現できない人間の五感に訴えるものをVRで体験してもらうことで、現場のイメージ化が進むと考えている。お客様のみならず、工事・設計業者にも体験してもらい、現場の『見える化』『見せる化』へつなげていきたい」(村山氏)。実際に『Galaxy-Eye』上でも計測データのVR化を行っており、引き続き強化していく意向だ。
今後の展望
引き続きVRの活用を強化
「世の中の点群処理ソフトは発展途上にあり、より使いやすいソフトへのレベルアップに加え、ユーザーの立場を汲み入れた上での機能開発を進めて欲しい」と村山氏は語る。同社は今後も3D計測データの有効活用に努め、プラント業界の働き方改革にもつなげていく意向だ。
同社の課題は「プラント業界は細かい配管が多く、配管をいかに早くモデリングをするかということが当社にとっての1つの鍵。もっとつきつめてやっていきたい」(村山氏)という。
引き続きVRの活用にも力を入れる意向で、「これからの時代で5Gなどの環境が整えば、距離・時間の制約を超えてVR上で現場に入ることができる。つまりは、現場に足を運ぶ必要がなくなる。また、次の時代において『レーザー計測』と『3DCADモデル』がデジタルツインとして成り立てば、立場の異なる人同士でのシミュレーションや議論、合意形成が可能となる。そこに向けてツールを開発してもらいたい」と村山氏は熱く語った。
代表者:藤野 伸司(代表取締役社長)
所在地:東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 三菱ビル
設立:1946年9月7日
資本金:54.7億円
従業員数:12,275名(連結)(2020年3月31日時点)