プラークや血栓によって、血管径が狭くなったり詰まったりした際、血管内にバルーンを挿入し、血管径を拡げてステントを設置する処置が行われています。処置を正しく行うためには、バルーンによって血管内に設置されたステントが、正しく展開されるか事前に検討しておくことが重要です。ステントの半径方向に荷重をかけ、ステントの展開された時の反力や応力を解析することにより、事前にステントが想定通り動作するか確認することができます。この解析を行うことで、ステントの拡張力(血管を支えることで、血管径が狭くならなくすること)の評価が可能です。

課題

ステントを設計するにあたり、動作不良や拡張力の不足は大きな問題であり、事前に排除すべき要因です。試作して実現象を観測するにも血管内の環境を再現することは困難なものです。にもかかわらず、考慮すべき内容は多岐にわたるため、設計段階で製品の性能を検証するためにはCAEが活用されます。

  • ステントが破損せずに展開するか?
  • 展開後、拡張力が保持できるか?
  • 血管が曲がっても、形が保持できるか?
  • CAEによる設計改善が可能か?

フロー

1. CADデータからのシミュレーションモデル作成

  • ステントのソリッドモデル作成
  • ステントの材料条件設定(弾塑性、非線形材料)
  • ステントへの荷重条件設定
  • 計算条件(計算領域や並列計算設定等)
  • 2. MARCでの計算実行

    3. 結果ファイルによる可視化

  • ステントの展開状況の可視化
  • 応力分布のコンター表示
  • 効果

    展開解析の結果から、以下のことが確認できます。

    • 均等に展開できているか等、展開への荷重条件を確認可能
    • 応力分布から、ステントの強度、強度不足部分の確認が可能
    • 実験計画法に基づいた解析を実施することで、形状最適化が可能